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ある日突然、夫の涼さん(仮名)が家を出て行ってしまったという茜さん(仮名)。単に家出をしたのではなく、それは永遠の別れを意味していました。ほんの半月ほど前に家族旅行まで行ったのに、なぜ話し合いもせず出て行ってしまったのでしょうか。
茜さんは、今後のことも考えて不倫の証拠を押さえることにしました。夫が出て行ってから1週間後、探偵を雇って尾行させました。
「今までは決定的な証拠がなかったので黙っていました。でも、離婚のことも頭をよぎりましたし、まずは証拠を押さえなければいけないと思いました。探偵を雇って尾行してもらうと、『公園の駐車場で卑わいなことをしている』と連絡がきました。カーセックスです。この時は、相手がどんな人なのか想像もつきませんでした。」
想定外だったのは、ことが終わった後、夫が探偵の車に近づいてきて、中をのぞき込んで探偵に話しかけてきたことです。
「探偵は、そのまま車で走り去ったそうですが、尾行していることがバレてしまいました。夫は、『探偵をつけただろう』と連絡してきました。でも、そんなこと構っていられません。
探偵は名誉挽回と思ったのか、女性の職場を突き止めてくれました。夫が毎週のように飲み会に行くと言っていた時に、その会社の名前が上がっていたので、『繋がった!』と思いました。」
そこから先は別の探偵に依頼したのですが、遂にラブホテルから出てきた二人の写真が撮れました。
「弁護士が、『証拠があれば住民票を取れる』と言っていたので、住民票を取ってもらうと住所も分かりました。相手は14歳年上の夫がいる女性でした。W不倫だったのです。」
生活費と弁護士費用で苦しい日々 次ページ
茜さんは、知り合いの弁護士にも相談しました。
「離婚するしないはひとまず置いておいて、生活費が欲しかったので婚姻費用の調停を申し立ててもらいました。夫側の弁護士からも、離婚調停の期日呼び出し状と受任通知が送られてきました。調停が始まってからは一切連絡を取っていません。9月半ばにLINEが来たのが最後です。」
茜さんは弁護士費用も生活費も全て両親から借りています。
「全部借金です。でも、追加で貸して、貸してと言いにくくなってきています。調停が始まってから1年経ちますが、まだ婚姻費用が決まりません。」
「不倫の原因はあなた」と言われて 次ページ
不倫の証拠をつかんだ茜さん。義父母に会って、「あんたらの息子、不倫しているんですけど」、と言いました。
「義母は、夫と女性が仲良く歩いているところを何度か見かけたそうです。さらに、義両親に話を聞くと、相手は夫がリフォームを担当した家の奥さんだということが分かりました。夫は、お客さんの妻と不倫していたわけです。」
義母は「申し訳ない」と謝ってくれました。しかし、後に、慰謝料の話で義両親のところに行くと、態度が一変していたそうです。
「父と一緒に行ったのですが、義両親は謝るどころか逆ギレしたんです。夫に慰謝料は分割払いしたいと言われたので、『あなたたち立て替えてくれないんですか。立て替えてくれたらそれで全て丸く収まるんですけど』、と言いました。
でも、義両親は、『そもそも不倫の原因を作ったのはあなただから』と、のうのうと言ったのです。話にならないので、その日は帰りました。」
離婚はしないという選択 次ページ
涼さんは、調停の席では、「妻からモラハラを受けた」と言いました。
全く心当たりのなかった茜さん。慰謝料の折り合いがつかず、調停は難航しました。
「当初、私が請求した慰謝料の半額を一括払いして、残りを分割払いするという話でした。それだったら離婚してもいいかなと思いましたが、次の期日に、『まとまったお金が払えなくなった。月々数万円、7年〜10年かけて分割払いしたい』と言ってきました。
『慰謝料を一括払いするためのお金を用意するから待ってくれ』、という話もありましたが、結局、私が『離婚しなくていい』と言って調停は終わりました。向こうは有責配偶者なので、自分で離婚するかどうか決められません。これでいいと思いました。
離婚しない場合、年収が高い方が低い方に婚姻費用を支払わないといけないという決まりがあります。離婚して養育費をもらうという方法もありますが、婚姻費用より額が減ってしまうので、離婚しないで婚姻費用をもらった方がいいんです。
好きな人もいないし、再婚する気もないし、正直、男はこりごりです。納得のいかない慰謝料をもらって、辛い思いをして働いて親に借金を返していくのなら、お金をもらい続けた方がいいんです。そのくらいの責任は果たしてほしいと思います。」
自ら突然家を出ていった涼さんですが、離婚調停で、面会交流をしたいと申し立てて来ました。しかし、子どもたちは、「パパが勝手に出て行ったんだから、会いたくない」と言っているそうです。
離婚には合意しない、それが復讐 次ページ
茜さんは、離婚に合意しないのが一番の復讐だと言います。
「理由も言わずに勝手に出ていって、離婚したいと言われても勝手過ぎます。私に寄り添って、私にとっていい条件で離婚すべきですよね。でも、向こうの弁護士は、夫の要望ばかり主張してきました。それじゃあ思い通りにしてあげようとは思いませんよね。これはささやかな抵抗です。
15年間、向こうはいろいろ女性関係がありましたが、私は彼一筋でした。青春時代の全てを捧げてきたんです。でも、彼と結婚したから子どももいるし、子どもは私の宝物です。今まで費やしてきた時間が、全く無駄だったとは思いません。
いずれにせよ、7、8年別居が続いたら婚姻関係は破綻が認められます。こちらから裁判は起こしませんが、向こうから裁判を起こしてくる可能性はあると弁護士が言っていました。
調停も弁護士費用がかかりましたし、裁判となるとまたお金がかかります。成功報酬も支払わなければなりません。経済的な事情で先延ばしになっているのかもしれません。私も本来なら支払わなくていいお金を支払うことになりました。親に借金したので返さなければいけません。」
夫側の弁護士は離婚裁判を起こすと言っていましたが、いまだその気配はありません。
「裁判を起こそうと思えば起こせるはずです。でも、調停にも弁護士費用がかかりましたし、裁判となるとまたお金がかかります。お金がかかるから裁判を起こせないのかもしれません。
夫は、結婚する時に住宅ローンが組めず、家も両親に建ててもらいました。月々家賃のような感じで返済していたのですが、今は一円も払ってきません。酒、女、金、全てだらしない人でした。」
「ママの子どもでよかった」、と言ってもらいたい 次ページ
茜さんは子どもファースト、これからも子どものことを第一に考えて生きていきたいと言います。
「精一杯子どものために生きて、いつか『ママも自分のために生きな』って子どもに言ってもらえるような母親になりたいと思います。あいつより絶対に稼いでやるし、何かで成功したいとも思います。」
茜さんは、別居してからシングル生活ですが、すごく交友関係が広がったと言います。職種も年齢層もさまざまですが、いろんな人と知り合いました。
私はもともと友達が多い方なんですが、夫は友達がいないので、同居している時は無意識に友達と会うのを控えていました。『〇〇とご飯食べに行く』とか言えませんでした。世間から遮断されていたんだなと思いました。」
これからは楽しく生きていきたいという茜さん。久しぶりに友達と食事に行きました。
「今までは、子どもがいない時間帯に会える人としか会いませんでした。でも、夫がいなくなったので、久しぶりに高校時代の同級生と集まることができました。
別居したと言ったのですが、誰も驚かないんです。『やっぱりね、何も変わってないね』『そんなの想像つくわ』と口々に言われて、みんなそう思っていたんだと思いました。」
今は、子どもたちの幸せだけを考えているという茜さん。
「子どもたちと一緒に楽しく生活して、ママの子どもで良かったと言われたい。今も『大好きだよ』と言ってくれます!」
一時は、突然の別れにショックを受けた茜さんですが、気持ちは前を向いています。
もう夫への愛情はないという茜さん。
「クレジットカードを解約され、突然生活費ももらえなくなって、子どもを見捨てたんだなと思いました。死ねと言っているのと同じです。私は母親だから、子どものことを第一に考えます。向こうも戻る気はないのでしょうけど、私も再構築することはないと思いました。
正直言うと、子どもにとって父親はいたほうがいいかなと思ったこともあります。ちゃんと謝罪してくれたら再構築したと思います。でも、謝罪の言葉は一切ありません。もう後戻りすることはありません。」
この記事のライター
OTONA SALONE|オトナサローネ
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