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「自分が悪いから夫が怒るんだ」と自己肯定感を失い、自分を責め続け自分がモラハラ被害者だと気がつかない方もたくさんいるのです。今回は、M子さんのご家庭を舞台に、モラハラ夫とその被害者である妻(M子さん)のお話をお届けします。後編です。
Mさんは、ほぼ一睡もできないまま朝を迎えました。夫と顔を合わすことが怖くて仕方なかったのですが、朝食を作らないと何を言われるかわからないという恐怖があったのでいつも通り振る舞っていたと言います。
夫が寝室から出てくる音が聞こえると、身体が強張り、胃がきゅっと締めつけられるような感覚に襲われましたが、我慢して朝食の準備を続けました。
リビングに現れた夫は、昨晩の言い合いやLINEの件について何事もなかったかのようにMさんの横に立ち、「今日の予定は?」と平然と尋ねてきました。Mさんは夫と目を合わせずに、「いつも通り仕事です」とだけ答えました。
その返事を聞いた夫は「そっか」と軽く頷くだけで、食事を食べ始めました。このようにモラハラ夫が「何事もなかったかのように振る舞う」心理には、いくつかの特徴的な要因があります。
1. 自己中心的な認知
モラハラ夫は、自分の感情や行動しか考えていません。自分がしたLINE攻撃が相手にどれだけのダメージを与えたかを深く考えることはなく、「自分はストレスを発散したからもう終わり」と完結しているのです。相手の心情やその後の影響について考えないため、翌朝には自分だけが「リセットされた状態」でいることができます。
2.感情の未熟さ
多くのモラハラ夫は、感情をコントロールする力が未熟です。その場の怒りや苛立ちを相手にぶつけた後、過去の出来事として処理します。相手がまだその影響で苦しんでいることに気づかないか、気づいても「自分には関係ない」と切り離してしまうのです。
3.意図的な支配
何事もなかったように振る舞うことで、相手を心理的に揺さぶり、さらに支配しようとする意図がある場合もあります。「自分は何も悪くない」「問題はお前にある」というメッセージを暗に送ることで、相手に罪悪感や無力感を抱かせようとしているのです。
4. 自己防衛メカニズム
モラハラ夫は、自分の行動を振り返ることはしたくないことなのです。自分の行動を見直すことで感じる罪悪感や自己嫌悪から逃れるために、意識的・無意識的にその問題を無視します。結果として、何事もなかったかのように日常に戻るのです。
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Mさんはこれまで、夫の暴言やLINEでの攻撃を「自分が悪いから仕方ない」と受け止めてきました。夫の機嫌を損ねる自分に原因がある、だから努力しなければいけない、と自分を追い込んでいたのです。
この日は、夫の行動とLINEの送り方の異常さ、自分の何がいけなかったのかと今までのことを振り返り、
「私がすべて悪いわけじゃない。夫が普通じゃない」と思うことができました。
しかし、自己肯定感の低いMさんは、またすぐに「夫を怒らせる私が悪い」とその考えを否定してしまうのです。負のループに入り込んでいた時、勇気を出して友人にその話をしてみました。そこで友人が言った言葉は
「あなたは何も悪くない。悪いけどあなたのご主人はモラハラよ」
このアドバイスにより、Mさんの心の緊張はすっと溶けていきました。
それから数日、夫の行動が「モラハラ」であることに確信を持てるようになりました。例えば、今回のLINE事件だけではなく、夫が外では「いい人」を演じ、家に帰るとその仮面を脱ぎ捨て、支配的な態度を取り、自分を責め立てる言葉を繰り返していたこと。
理不尽なことだらけの夫の行動がモラハラだと、ようやく理解できるようになってきました。
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この記事のライター
OTONA SALONE|オトナサローネ
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