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「もう一度、夫婦としてやり直したい」“触らない夫”になって気づいたこととは

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目次

妻からの怒声と寝室追放。タカシさんは、ただの“おかえりハグ”のつもりだった愛情表現が、なぜここまで関係を壊してしまったのか、自問自答を繰り返していました。

「自分はそんなに悪いことをしたのか」
「どうすれば、もう一度笑い合えるのか」

答えの見えない中、それでもタカシさんは試行錯誤を重ねていきます。手紙、スキンシップの自粛、タイミング調整……それらの努力は報われたのか。

に続き、関係修復をめざすタカシさんの実践と、すれ違いの根底にあった“家庭環境のギャップ”、そして“もう一度夫婦として向き合いたい”という本音に迫ります。

※本人が特定できないよう変更を加えてあります

※写真はイメージです

「リビングで寝て」明確な妻からの拒絶

翌朝、タカシさんはリビングのソファに座り、奥さまの顔色をうかがっていました。けれど、奥さまはほとんど口を開かず、「おはよう」をかろうじて交わしたきり、会話は一切なし。朝食の支度や娘の身支度も、すべて奥さまが淡々とこなしていきました。

タカシさんは、その重たい空気に耐えきれず、自分も黙りこんでしまったといいます。

そしてその晩、寝室に入ろうとしたタカシさんに、奥さまは静かにこう告げました。

「今日は、リビングのソファで寝てほしい」

しばらくは一緒に眠りたくない――。そんな明確な拒絶のサインでした。

「ショックでした。理由は分かっているつもりだし、昨夜の怒りが収まっていないのも理解できます。でも……家族からベッドを追い出されるなんて、まるで自分が犯罪者になったような気持ちでした。子どもの頃から、家では自分のベッドで寝るのが当たり前だったのに、大人になって、家族に拒絶されるなんて初めてで……」

一方で、奥さまには「何度伝えてもわかってもらえない」という深い絶望感があったのでしょう。ここまで態度を明確にしないと伝わらない。あるいはもう「一緒に眠るのも怖い」と思っていたのかもしれません。

娘はまだ7歳。夫婦の衝突を理解するには早い年齢ですが、空気の変化には敏感でした。朝になると、「パパ、なんでソファで寝てたの?」「ママはどこにいたの?」と、不安そうに問いかけてきたといいます。

「パパ、ちょっと仕事で疲れてるから別で寝てたんだよ」と取り繕ったタカシさんですが、娘はどこか納得していない様子でした。

この夜を境に、夫婦のスキンシップは完全に消えました。
手をつなぐことも、抱き合うことも、もちろん性行為も――。
数年続いていた夜のコミュニケーションは、わずか一夜で、静かに途絶えてしまったのです。

 

俺、そんなに悪かったのか… 次ページ

「俺、そんなに悪かったのか…」自責と孤独、そして「理不尽感」

タカシさんはこれまで、「自分は妻を大切にしている」「家族を愛している」と本気で思っていました。
しかし、妻の激しい怒りとその後の徹底的な拒絶を前にして、初めて「自分の言動が、どれだけ相手を追い詰めていたのか」に気づかされたといいます。

日中、仕事に集中しようとしても、ふとした瞬間に“あの夜”の光景がよみがえる。
「なぜ止まらなかった?」「あの一言で、なぜ気づけなかった?」――。
タカシさんの頭の中は、自問と後悔で埋め尽くされました。

「もしかして、自分は本当に“ダメな夫”だったのかもしれない」
そんな自己嫌悪のループに陥り、どんどん気持ちが沈んでいったといいます。

同僚には「最近、元気ないね」「何かあった?」と声をかけられましたが、「ちょっと家庭のことで…」と答えるのが精一杯。
スキンシップが原因で揉めているなんて、男としてのプライドもあり、とても人には話せなかったといいます。

帰宅後も、奥さまと交わすのは最低限の言葉だけ。
娘の前では「普通の家族」を演じていたものの、奥さまが機械的に返事をしているのは明らかで、胸が締めつけられる思いでした。

夕食後の空気もどこかよそよそしく、娘を寝かしつけると、奥さまはそっと寝室へ。
タカシさんは再びソファに追いやられ、ひとりぼんやりとテレビを眺める夜が続きました。

「僕はこれまで、自分の愛情表現は間違っていないと信じていました。
でも、それが“嫌がらせ”や“触り魔”のように捉えられてしまうなんて……まったく想像してなかった。
愛情が空回りすると、こんなにも悲惨なことになるんですね」

タカシさんは強い自責の念に駆られる一方で、「そこまで拒絶しなくてもいいんじゃないか」という理不尽さも感じていたそうです。
自分は“悪気がなかった”。それなのにここまで追い込まれるのは納得がいかない――。
そんな被害者意識もまた、心のどこかに拭いきれずに残っていたのです。

こうして夫婦のあいだには、複雑に絡み合った感情のしこりが、少しずつ、しかし確実に積もっていきました。

 

謝罪の手紙を書いたけど 次ページ

謝罪の手紙、そして…夫が重ねた苦い試行錯誤

なんとかこの状況を打開しようと、タカシさんはさまざまなアプローチを試みました。
どれも一発逆転にはならず、むしろ空回りやすれ違いの連続。それでも、一歩でも前に進もうと必死だったといいます。

最初に試したのは、「本当にごめん」と書いた手紙を奥さまの枕元にそっと置くこと。口ではうまく言えない気持ちを、文章に込めようとしたのです。

「『君の気持ちを知らずにごめんね』『愛情表現って、押しつけじゃなくて相手が受け入れて初めて成立するんだね』って書きました。何度も推敲して、便箋に丁寧に手書きで……。読んでくれたかはわからないけど、僕の中では少し気持ちが整理されました」

次に考えたのは、“触れる時間帯”の見直しです。
夜や食事中、テレビを観ている時間は避け、あえて昼間――たとえば娘を送り出したあとの静かな時間帯なら、受け入れてもらえるのではないかと考えました。

「実際、昼間に『ごめんね』と声をかけて肩にそっと手を置いたら、妻が笑顔を見せてくれたんです。そのときは本当にホッとしました。でも、そこで気が緩んだんでしょうね。数日後、また同じように何度も触れていたら、『なんで同じこと繰り返すの?』って怒られてしまって……」

このとき、ようやく気づいたといいます。
“タイミングや頻度を変える”だけでは、根本的な問題は何も解決していない、と。

次に選んだのは、“一切触らない”という極端な方法。
スキンシップもゼロ、会話も必要最低限に抑え、とにかく奥さまのストレスを減らすことを最優先にしました。

「最初の数日は、本当にきつかったです。触れないだけじゃなくて、夫婦としての実感すら失われるような感覚でした。でも、少しだけ距離が縮まったように感じました。妻の表情も、以前より和らいだ気がして……」

けれどそれもまた、決定打にはならなかったといいます。

「これで“落ち着いた”としても、きっと妻は『またいつか同じことをされるかも』って、不安に感じていると思います。完全に信頼を取り戻せたわけじゃない」

“タイミング”と“頻度”――。
それだけで人の気持ちを取り戻せるほど、夫婦関係は単純ではない。
その難しさを痛感したと、タカシさんは少し苦笑しながら語ってくれました。

 

すれ違いの根っこにある問題は 次ページ

すれ違いには、家庭環境の影響があった

なぜ、タカシさんは自分の行為が奥さまを苦しめていたことに、あれほど気づけなかったのか。
その背景には、夫婦それぞれが育った家庭環境や、性格的な価値観の違いが大きく影響していました。

「僕の実家では、父が母にちょっかいを出すのが日常でした。お尻を叩いたり、ハグしたり……。ふざけ合いながら笑っていたふたりの姿が、“仲の良い夫婦”として焼きついていたんです。だから、自分にとって“スキンシップは当たり前の愛情表現”という意識がずっとあって」

一方、奥さまは「人前でのスキンシップが苦手」な家庭で育ったそうです。
体調不良のときにマッサージする程度はあっても、ハグやボディタッチといった日常的なふれあいは少なかったといいます。
加えて奥さま本人も、「プライベートとパブリックはきっちり分けたい」タイプ。家の中でも、突然の接触には抵抗感が強かったのかもしれません。

「僕が“当たり前”だと思っていたことは、妻にとっては“侵害”だった。それを理解しないまま距離を詰めていたのは、思いやりがなかったと反省しています」

夫婦といえども、「当たり前」が一致しているとは限りません。
すれ違いが生まれたとき、どちらかが丁寧に説明し、歩み寄る必要がある。
それができなかったタカシさん夫婦には、静かに誤解が積もっていったのです。

 

再出発のために「ちゃんと話す時間」をつくろうとしている

現在、タカシさんは「今度こそ、きちんと話し合いたい」と考えています。
一方的に謝罪文を渡すだけ、スキンシップを我慢するだけでは、何も解決しなかった。
ならば、お互いがどうしたいのか、今後どんな関係を築きたいのかを、言葉にして伝え合う必要があると痛感しているのです。

「もう一度、夫婦としてスタートラインに立ちたい」
それが、今のタカシさんの率直な願いです。

もちろん、すぐに元通りになれる保証はありません。
一度爆発した怒りと不信感を乗り越えるには、相当な時間と誠意が必要です。

それでもタカシさんは、「愛情表現は、相手の気持ちを汲み取ってこそ意味がある」という教訓を得たと語ります。
過去の自分を悔やみながらも、同じ失敗を繰り返さないために、ようやく前を向こうとしているのです。

 

おわりに

無神経なスキンシップが引き起こした、夫婦の深い溝。「愛情表現のつもりだったのに」「自分の家庭では当たり前だったのに」――そんな思い込みが、奥さまを押しつけがましさと絶望へと追い込んでしまいました。

 

夫婦といえども、育った環境も感覚も価値観も違います。それを“察してくれるだろう”と甘えるのではなく、「ちゃんと伝える」「違いを認める」「すり合わせる」ことが大切なのです。

 

関係が歪んでしまったあとでも、修復の道はあります。タカシさんのように、自分の非を認め、具体的な対話の努力を始めることが、失われた信頼を取り戻す第一歩になるかもしれません。

 

「触れる」という行為は、時に安心を、時に圧力をもたらします。だからこそ、その“距離感”には思いやりが必要です。

 

ふたりが再び「おかえり」「ただいま」と、心から交わせる日が来るように……。読者の皆さんも、このストーリーをきっかけに、ご自身の愛情表現について、少し立ち止まって見つめ直してみてはいかがでしょうか。

 

 


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この記事のライター

OTONA SALONE|オトナサローネ

女の欲望は おいしく。賢く。美しく。OTONA SALONE(オトナサローネ)は、アラフォー以上の自立した女性を応援するメディアです。精神的にも、そして経済的にも自立した、大人の女のホンネとリアルが満載。力強く人生を愉しむため、わがままな欲望にささる情報をお届けします。[提供:主婦の友社]

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