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リクルートが「2024年度 賃貸契約者動向調査」(2024年度に賃貸住宅に入居した人が対象)の結果を発表した。目立ったのは、契約した家賃や管理費・共益費がこれまでで最高額になったことだ。家賃が上昇するいま、賃貸選びはどうしたらよいのだろう?
【今週の住活トピック】
「2024年度 賃貸契約書動向調査(首都圏)」を発表/リクルート
調査結果を見ると、契約した住まいの家賃は、平均9万6082円。前年度から3500円以上も上昇した。加えて、管理費・共益費は、平均6177円で、前年度から600円近く上昇した。家賃、管理費・共益費ともに、2005年度以降最高額となった。
■契約した住まいの家賃 ※管理費・共益費除く(実数回答)

出典:リクルート「2024年度 賃貸契約者動向調査(首都圏)」より転載
家賃の上昇では、とりわけ、ファミリータイプが目立つ。2024年度の平均額は12万2234円で、前年の11万8073円からは4161円の上昇、2005年度からは2万3467円の上昇となった。
最近は住宅価格が高騰しており、特に都心部での高騰が著しい。これは、実際に居住する人たちだけでなく、転売したり賃貸に回したりといった投資目的の購入事例も多く、需要が落ちないからだ。そのため、一般世帯では手が届きにくい価格になっており、郊外物件や中古物件に目を向けたり、購入を断念して賃貸を探したりする人が増えている。こうした背景が、家賃の上昇の要因と考えられる。
一方、管理費・共益費では、「管理費・共益費なし」という賃貸住宅もあるが、その割合は減少傾向が続く。2005年度は30.4%もあったが、2024年度では17.4%だった。金額の増加だけでなく、管理費などが別途発生しない物件も減っているのだ。
■管理費・共益費なしの割合
管理費なし(0円)2005年度30.4%2006年度32.4%2007年度31.4%2008年度28.3%2009年度24.7%2010年度32.6%2011年度28.2%2012年度28.9%2013年度25.4%2014年度28.3%2015年度29.0%2016年度28.6%2017年度27.9%2018年度24.6%2019年度20.5%2020年度20.7%2021年度22.1%2022年度20.0%2023年度18.7%2024年度17.4% 出典:リクルート「2024年度 賃貸契約者動向調査(首都圏)」より転載いまやエアコンやTVモニター付きインターフォン、フローリングは当たり前次に、「現在の住まいに設置されていている設備」(複数回答)について見ていこう。
設置状況の多い順に、「エアコン付き」(74.7%)、「TVモニター付きインターフォン」(61.2%)、「フローリング」(60.0%)、「独立洗面台」(59.3%)、「2口コンロ以上」(53.3%)、「温水洗浄便座」(51.2%)となる。これらは、過半数の物件で設置されている設備になる。
一方、「設置されていた設備で満足度が高いもの」を聞くと、上位は「24時間出せるゴミ置き場」(71.7%)、「遮音性能の高い窓」(67.8%)となった。設置率はそれほど高いわけではないが、設置されていた場合に満足度が高いという設備だ。3位以降は、「エアコン付き」(66.9%)、「2口コンロ以上」(66.4%)、「スマートロック」(66.2%)、「浴室乾燥機」(66.2%)などとなった。
■現在の住まいに設置されている設備(複数回答)

出典:リクルート「2024年度 賃貸契約者動向調査(首都圏)」より転載
このように、賃貸住宅によって、家賃や立地条件はもとより、設置されている設備も異なる。それによって、住み心地も変わってくるので、後悔しないようにしっかり確認しておきたい。
「入居前に知りたいこと」とは?では、「入居前に知りたいこと」は、どんなことだったのだろう?
過半数が回答したのが、「日当たりや風通しなど、部屋の住み心地」(53.9%)、「最寄りの駅・バス停までの距離や経路」(50.8%)、「近隣のスーパー・コンビニ・ドラッグストアなどの営業時間・距離や経路」(50.6%)だった。
■入居前に知りたいこと(複数回答)

出典:リクルート「2024年度 賃貸契約者動向調査(首都圏)」より転載
ただし、世帯構成別で多少の違いがあり、2人世帯で「家具や家電のサイズ選びや配置計画を立てるための、詳細な寸法表示」、ファミリー世帯で「近隣の住人層」「駐車場や駐輪場の空き状況、使い勝手や駐車可能な車のサイズ」の項目が、全体と比べて高かったという。
体感で確認することも大切!現地見学のススメ知りたい情報は、ある程度は不動産広告から得ることができる。間取図には方位が記載されているので、南向きか西向きかといったことがわかる。ただし、前面に高い建物があり、その陰になって南向きでも日当たりが期待できないということはあり得る。
また、最寄駅からの徒歩分数も記載されており、1分=80mで、駅の出入口から集合住宅の入口までの距離で計測される。ただし、踏切や信号の待ち時間は考慮されず、急な坂道を通るといったこともあり得る。
そこで、不動産会社から基礎情報を入手したうえで、実際に現地に出向いて、駅から現地までのルートや建物周辺の状況、頻繁に利用するであろう商業施設の品ぞろえや営業時間など、気になる点を確かめることをオススメする。
近年は、オンライン内見やオンラインと対面の併用内見なども増えている。調査では、「オンライン内見のみ実施者」が28.3%、「オンライン内見・対面での内見併用者」が9.1%で、合計37.4%がオンライン内見を実施していた。オンライン内見を否定するわけではないが、契約前に可能ならば一度は現地を訪れてほしい。
映像だけではなく、実際に体感することで得られる情報も多い。現地に出向くことで、建物の管理のよしあしや居住者の様子をうかがうこともできる。コミュニケーションが得意な人なら、近所の人に話を聞いて多くの情報を得ることもできるだろう。
さて、賃貸住宅の家賃や管理費などが上昇しているいま、より慎重に賃貸選びをしたいものだ。賃貸なら引越しをすることもできるが、初期費用もかなりかかるので、納得できる住まいを選びたい。そのためには、そこでの暮らしをイメージして、周辺環境や室内の設備機器などを見落とさないようにしてほしい。
●関連リンク
リクルート「2024年度 賃貸契約書動向調査(首都圏)」
この記事のライター
SUUMO
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『SUUMOジャーナル』は、魅力的な街、進化する住宅、多様化する暮らし方、生活の創意工夫、ほしい暮らしを手に入れた人々の話、それらを実現するためのノウハウ・お金の最新事情など。住まいと暮らしの“いま”と“これから= 未来にある普通のもの”の情報をぎっしり詰め込んで、皆さんにひとつでも多くの、選択肢をお伝えしたいと思っています。
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