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「地震時は机の下に」は必ずしも正しくない。3.11で被災したアナウンサーが子どもに伝えたい“正しい防災”とは

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目次

奥村さんはAmazonランキングの7つのカテゴリで1位を獲得した『大切な家族を守る「おうち防災」』(辰巳出版)の著者。フリーの防災アナウンサーとしてあらゆる防災情報を発信する第一人者です。今回はご自身の活動内容や始めたきっかけ、子どもたちに伝えていることを教えていただきました。

災害・防災情報を届ける「防災アナウンサー」という仕事

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――防災アナウンサーのお仕事について教えてください。

奥村奈津美さん(以下、奥村)災害が起こったときは現場に入って支援活動を行い、平時は、防災について情報発信をして啓発活動をしています。メディア出演や講演、SNS、オンラインでの防災訓練のほか、都内や近郊の学校で防災授業を行っています。

――防災授業ではどんなことを教えているのでしょう?

奥村防災授業は、小学校・中学校・高校や学童クラブのお子さんを中心に、保護者会や母校でも授業をしています。わたしが講師を務める防災教育推進協会から依頼されることもあります。内容は防災の基本的な部分。どんな家が地震で壊れるのか、どんな地域に津波がくるのかなど、想定されている範囲だけでもまずは知ってもらうことを大事にしています。

――防災の基本といっても、実際あまり知らないことが多いですものね。

奥村例えば能登半島地震では、古い家に留まってそのまま下敷きになってしまうケースが多くありました。学校では「地震が起きたら机の下に避難」といわれますが、それは頑丈な建物である学校だから通用すること。古い家など丈夫ではない建物で机の下に入ったら、下敷きになるおそれがあります。自分が今いる建物が、潰れるおそれがあるかどうか。それが分からなければ危険な場所でも留まってしまうと思うので、自宅やご実家、祖父母宅が耐震基準を満たしているかどうかなど、事前に調べておくことが大切です。

それから、自分にできることに目が向けられるようになってもらえたらと思っていて。通学路の中でどこが危ないかチェックしたり、ご家族が自宅の備えをしていなかったら提案したりといったことですね。実は子どもでもできることがたくさんあるので、そうした選択肢をひとつでも多く伝えたいな、と思っています。

東日本大震災で九死に一生、迫る津波に「本当に悔しかった」

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――奥村さんはもともと報道アナウンサーでしたが、なぜ防災アナウンサーに転向したのでしょうか。

奥村防災について発信したいと強く思ったきっかけは東日本大震災。当時は仙台の放送局のアナウンサーで、自宅マンションで被災しました。当時、自分は報道キャスターだったにもかかわらず、家の中に安全な場所がひとつもなくて。キッチンで調理をしていて、冷蔵庫の上に置いていた電子レンジがとんできました。間一髪で避けましたが、もし当たっていたら……、と死の恐怖を体験しました。あのときは振り落とされそうなすごい揺れで、ちゃんと地震対策をしていないと部屋がめちゃくちゃになるんだ、というのをまず自宅で痛感しました。

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※画像はイメージ

奥村その後、災害報道のために同じ仙台市内にある宮城県庁へ。そこで津波の第一波、第二波を映像で見ました。けれど、自分が今この目で津波が迫っているのを見ているのに、伝える術がありませんでした。停電でテレビの報道は届けられなかった。災害が起きてからどれだけ「逃げて」と叫んだところで、届けたい人には届かないという現実に直面して、本当に悔しい思いをしました。自身の備えの未熟さも、災害が起きてからでは手遅れだ、ということも痛感して。それから防災をライフワークにしよう、と考えました。

――それで防災アナウンサーに?

奥村8年ほど、報道番組のアナウンサーとして番組の取材で被災地などに入り、災害報道に携わっていました。転機は、妊娠を機に番組との契約が解除されてしまったこと。自分がそれまでやってきたことで活かせることは何か考えた結果、防災に特化したアナウンサーとして活動しようと決めました。けれど、ちょうど新型コロナウイルスによるパンデミックが発生してしまって。家でできることはないか考え、本を執筆することにしました。

「知らないことが、一番怖いこと」子を亡くした母親の言葉

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――書籍が防災アナウンサーとしての最初の一歩だったのですね。

奥村6月に出版した『大切な家族を守る「おうち防災」』は2021年の『子どもの命と未来を守る! 「防災」新常識』(辰巳出版)の改訂版です。別の仕事で編集者の方とご縁があり、自分で本を企画しました。災害が起こると、通信が不安定になり、ネットではなかなか情報が手に入りません。そんなとき、紙の書籍ならすぐに手に取って確認できます。各家庭に1冊、行動の指針になるような「防災ガイド」があったらいいのでは、という想いもあって、本という媒体を選びました。

――書籍は子どもがいる家庭や障がいのあるお子さんがいる場合など、さまざまなケースを想定して書かれていました。

奥村特にお子さんがいる家庭に向けて情報発信をするのは、東日本大震災でお子さんを失ったあるお母さんのメッセージが原点です。震災のあと、ずっと交流させていただくなかで、「知らないことが、一番怖いことです」とおっしゃっていました。この言葉は今も自分にとって防災を伝える際の原点になっています。

みなさん子育てで忙しい中、自分の家が地震、洪水、津波など、災害時にどのような被害を受けるリスクがあるのかを知らずに過ごしている方が非常に多いように思います。まずは、自分の家や地域がどんなリスクのある場所にあるのか知っていく。それを重点的に伝えたいです。

災害時、親子一緒とは限らない。子どもが自ら身を守れる知識を

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――奥村さんご自身は、お子さんに防災についてどのように話していますか。

奥村地震で揺れたらどうするかは、幼稚園のころから伝えています。我が家の場合、家の中で一番安全な場所がソファの近くなので、そこか廊下へ行くように言っています。繰り返し伝えておくと、いざというときそこへ子ども自ら避難できるようになります。家の中でどこが安全か、共有しておくのがおすすめです。

うちの子は今、小学1年生。わたしは仕事で家を離れることが多く、これから離れて過ごすことが増えてくると思います。そこで、家の外で災害にあったときの対応も、伝えるようにしています。もし下校時に地震がきたら、学校に戻って学童の先生や学校の先生を頼る、とかですね。家だと火災が発生することもあって、小学生が1人で対応するのは難しいと思いますし。1人で帰ってくるより、学校のような避難できる場所にいてくれたほう安全です。

――災害はいつ起こるかわからないので、大切なことですね。

奥村習い事などで公共交通機関を利用するようになったら、何か起きたら駅員さんに聞いて、その指示に従うように伝えようと思っています。駅の近くにいるときは、駅に向かわない、ということも。

――駅には向かわないよう伝えるのはなぜですか?

奥村災害時は駅に人が殺到して群衆なだれが発生するというシミュレーションがあるからです。子どもは帰らなきゃ、と思ってすぐ駅に向かってしまうと思うんです。でも行っても電車は止まっているし、かえって危険な場所になります。そういうことは、普段の生活の中で伝えるしかないかな。地震が起きたときに子どもと一緒にいるとは限りません。子どもが成長するにつれて、だんだん不安になることも増えていくかな、と思っています。

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――防災アナウンサーの活動で今後やりたいことはどんなことですか。

奥村能登の子どもたちに向けた防災授業です。そのために書籍の印税を活用して、防災授業を届けるプロジェクトを立ち上げました。危機管理教育研究所で災害対応コーディネーターをやっているのですが、能登には発災1週間後から現地に入り、物資を届けることから始めて。珠洲市では津波で散乱した災害ごみを片付ける、ビーチクリーンの活動もしました。ビーチクリーンの活動後にはみんなで炊き出しを食べたり、ビンゴ大会をやったり。

こうした支援活動でつながった学校からある日、相談を受けたんです。子どもたちは地震や水害があってとても怖い気持ちで過ごしているのに、防災授業をやりたくても費用やリソースが捻出できない、と。最初にお話したように、防災授業は自分がずっと続けている活動。それを能登でも実現したいと思い、今、準備をしているところです。

――最近では「7月5日に大災害が起こる」との予言が世間で話題になっていました。科学的根拠がない噂で、実際には何も起こりませんでしたが……。

奥村日本ではいつ何が起こっても不思議ではありません。特定の日だけでなく、いつもその危険にさらされています。だから予知はできないけれど、こうした話題があったときに、備えを具体的に考えるきっかけにしてもらえたらいいな、と思いますね。

後編では、日頃からできる防災についてうかがいます。

(取材・執筆:佐藤華奈子、撮影:佐藤登志雄、編集:マイナビ子育て編集部)

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この記事のライター

マイナビウーマン子育て

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