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共働き家庭のリアルな教育資金事情を聞く本連載。今回は、高校生の長男と小学生の長女を育てるKさんにインタビュー。Kさんご夫妻は堅実に学資保険に加入し、共働きで家計も安定しているそう。一見、何も問題がなさそうに思えますが、実は数年後に迎える「教育費のピーク」におびえているそうで……?
⚫︎K家の基本情報ママ(Kさん):40代会社員パパ:会社員長男:高校2年生/中学受験をし、現在は私立中高一貫校に通う。長女:小学5年生/中学受験を予定し塾に通い中。
――K家では子どもの教育費について、どのように準備を進めてきたのですか?
Kさん学資保険に加入しています。長男の分はすでに支払いが完了していて、長女の分は現在も支払い中です。私たち両親に何かあったときにも、最低限学校に通えるだけのお金は残せるという安心感があるので、学資保険は貯金というよりはお守りとしての役割が大きいと感じています。
――学資保険で備えているなら安心ですね。実際に教育費の準備は順調でしたか?
Kさん準備はしていたつもりだったんですが、実際には想定以上に費用がかかる場面が多いですね。特に進学に際しては「入学時の一時的なお金」だけでなく、その前の「準備段階」がすごくかかるんだなと実感しています。
――準備段階というと、やはり中学受験の塾代などでしょうか?
Kさんはい。長男の中学受験にかかった費用は、小学4年生から6年生までの3年間で約240万円でした。その間、塾は1つだけで、家庭教師などは利用していませんでしたが、やっぱり積み上げるとかなりの額になってしまい……。中学受験までの数年は、塾代が毎月毎月、継続的に家計の大きな負担としてのしかかりました。
――長男さんが中学受験をすることは、当初から予定していましたか?
Kさん実は、私たち夫婦はともに地方出身で中学受験の経験がなく、当初は公立中で良いと思っていました。ただ、長男が通っていた小学校の環境が荒れていて、一時は学級崩壊と言っていいほどのひどい状態。長男自身も「この学校嫌だ」と言い出したんです。本人の性格的にも中学受験が合うだろうと判断し、最終的には本人の意思で中学受験をすることに決めました。私たちも「絶対ここに行ってほしい」という思いもなかったため、学校選びも子ども主導でしたね。
――子どものためとはいえ、多額の費用がかかるのは大変ですね。Kさん自身も想定外だったと。
Kさんそうなんです!自分なりに教育費に関する情報は集めていて備えていたつもりでしたが、子どもの進学希望や学力にあわせた資金計画までは立てられていませんでした。長男は中高一貫校に進学したため、中学の3年間だけは塾通いもなくほっと一息つけましたが、高校からに入ってからはすぐに大学受験のための個別指導塾がスタート。多い時には塾代だけで月10万円を超えることもあります。
――月10万!やはり個別は集団塾に比べてかなりかかるんですね……。
Kさん集団塾であればもう少し費用は抑えられますが、今の長男のやる気や性格を考えると、個別一択で。何年生になったたときにその子がどうなってるか、なんて読みきれる親はいないと思うので、仕方ないとあきらめています……。
――長男さんは現在高校2年生とのことで、塾代以外の教育費は落ち着きましたか?
Kさんそんなことはまったくありませんね。まず、私立の中高一貫校なのでそもそも学費が高いですし、東京都の高校授業料は無償化されていますが、部活動費や修学旅行の積立金など、授業料以外の費用もばかになりません。これらの学費以外の費用も年間で100万円近くになる見込みです。さらに、長男は春休みに3週間の留学も経験し、その費用は約70万円でした。
――子どもに成長するにつれ、留学費用など新たに発生するお金も出てくるのですね。ちなみに長女さんも中学受験を考えているとのことですが?
Kさんはい、長女は小学5年生ですが、兄の姿を見て当たり前のように中学受験をするものだと思っているようです。今は幸いなことに塾のスカラシップ制度を利用させてもらっていて、塾代はかかっていないんです。でも当然、成績が落ちれば授業料免除もなくなりますし、いつまで今の状況が続くかは不透明なので、再び塾代が発生する可能性も大。今後、長女の中学受験と長男の大学受験が重なるタイミングで、我が家の教育費がピークを迎えるはずですので、戦々恐々としています……。
――長男さんは、大学では文系と理系どちらを志望されているのですか?
Kさんバリバリの理系志望で、もし大学院まで進むことになれば、さらに学費がかかることになります。医学部や薬学部などの「6年制学部」を選んだ場合は、長期戦が必至。気が遠くなりそうです。
――学資保険ではまかなえそうなのでしょうか……?
Kさん長男のための学資保険は満額で200万円にしかなりません。当初は自宅から国公立大学に通うならこれで足りるかなと考えていましたが、もし私立、特に6年制の理系学部に進むとなると、今契約している学資保険だけではまったく足りません。ただ、学資保険はその名の通り「保険」なので、控除の対象になる点はメリットだと感じています。
――ほかに資産運用などはされていますか?
Kさんいえ、投資などの積極的な資産運用はしておらず、学資保険のような保険商品や、積立型の預貯金など、比較的堅実な方法で教育資金を準備しています。今は何でも「投資、投資」ともてはやされていますが、チャートが上がった下がったに毎日一喜一憂するのは、ストレスになってしまいそうで……。私の性には合っていないので、リスクを抑えつつ、着実に増やしていくことを重視していますね。
――たしかに、リスクを考えると投資がすべて正解とは言い切れないかもしれませんね。ほかに家計管理において、何か工夫されていることはありますか?
Kさん今住んでいる自宅マンションは、結婚前に夫とペアローンで購入しました。ペアローンだとそれぞれが住宅ローン控除を受けられるため、控除額が大きくなるのが助かっています。家計管理は主に夫が担当してくれていて、そういった控除なども考慮しながら効率的に管理してくれています。控除制度をうまく活用することも、家計管理においては大切なポイントだと感じています。
――世間一般には「子どもが小さいうちが貯めどき」と言われていますが、やはりその頃は意識して貯蓄されていましたか?
Kさん結婚して1年後に長男の妊娠が分かり、産休育休を経て復帰してからは、私がしばらく時短勤務をしていた時期がありました。その間はもらえる給与がガクッと大きく減り、貯蓄が難しかったですね。むしろ、時短からフルタイムに戻って給与が元の水準になってからが、我が家の貯めどきでした。共働きの方は、「フルタイム復帰後から子どもが中学受験の準備を始めるまで」が勝負どころと捉えて、集中的に貯蓄に取り組んでみるといいかもしれません。まだまだ先が見えない日々ですが、我が家の教育費のやりくりが参考になれば幸いです!
(取材・文:マイナビ子育て編集部)
この記事のライター
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