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「子どもが将来やりたいことができるように、教育資金をしっかり準備したい」。親であればきっと誰もが抱く想いでしょう。この大切な教育資金を、世の中の子育て家庭ではどのように準備をしているのでしょうか。ファイナンシャルプランナーの鈴木さや子さんに、今知っておきたい教育費の準備方法について解説してもらいました。
レオス・キャピタルワークス社の調査(※)によると、7割を超える家庭が教育資金を「預貯金」で準備していることがわかりました。大切な資金ですから、金額的に減るリスクがない手段で準備している人が多いのは当然と思います。しかし物価が上がり続けている今、預貯金だけで本当に安心なのか心配という声も聞こえてきます。
そこで、預貯金だけではなく、投資を組み合わせた教育資金の準備方法について、メリットとデメリットを解説します。
投資に対して「なんだか怖いもの」「元本割れするリスクがあるからよくない」と感じていませんか?もちろん、その感覚は間違いではありません。
しかし預貯金にもリスクがあります。それは「インフレリスク」。インフレリスクとは、物価が上昇することで、同じ金額で買えるものが減ってしまうリスクのことです。たとえば、今は100円で買えるものは、数年後に120円になっているかもしれません。
2025年7月時点で、年0.2%程度の預金金利に対し、2025年の物価上昇率(年間)は3%前後で推移しており、預貯金だけでは資産が実質的に目減りしてしまう状況です。せっかく準備した教育資金も、子どもが大学へ進学するころには、授業料や生活費が上がっていて「思ったより足りない……」という事態になりかねません。
モノの値段が上がると、それを作って売る会社の売上や利益も増え、結果として会社の価値を示す株価が上がりやすくなります。そのため、インフレによる「価値の目減り」を防ぐ方法の一つが株式への投資なのです。
今の時代、初めて投資を考えるなら、利益に税金がかからないNISAから始めるのがオススメ。次にNISAで教育資金を準備するメリットをみていきましょう。
投資をすると、長期間かかりますが、経済全体の成長の恩恵を受けながら、預貯金の金利を上回るリターンを目指すことができます。
通常、預貯金や投資で得た利益には約20%の税金がかかります。しかし、NISA口座内での運用なら、この税金が一切かかりません。たとえば、月3万円を平均利回り3%で18年間積立運用できた場合、投資金額648万円に対して利益は210万円。NISAでなければ、このうち約42.7万円が税金として差し引かれてしまいますが、NISAなら210万円全額受け取れるのです。
教育資金の主な準備手段である学資保険は、基本的に満期である18歳になるまでは解約すると損することがあります。一方NISAは、必要なタイミングで必要な分を原則いつでも引き出せるため、高校時代の塾代や留学費用など、急な出費にも柔軟に対応できるのです。
また、NISAには「生涯投資枠」と呼ばれる非課税で投資できる上限(生涯を通して1,800万円)があります。これを売却するとその分の枠が翌年に復活するのも嬉しいメリットです。
もちろんメリットばかりではありません。NISAで教育資金を準備する際に知っておくべきデメリットと、その対策も押さえておきましょう。
NISAは投資である以上、元本保証はありません。購入した金融商品の価格が下落し、元本割れの時期が発生する可能性があります。
元本割れの対策として、複数の投資先に分散して投資できる「投資信託」を利用することをおすすめします。投資先を世界中に分け、毎月、同じ金額を長期間積み立て続けることで、大きな値下がりのリスクを抑えることが可能です。
大学入学の直前など必要な時期に暴落し、投資資産が大きく減る可能性があります。資産の大幅な下落に対しての対策は2つ。
一つめは、高校生になるなどお金を使う時期が近づいてきたら、少しずつ売却し利益を確定して、預金などに移すこと。二つめは、投資だけでなく、預貯金や個人向け国債など元本割れリスクのない手段で、一定金額を準備し、暴落しても売却しなくて済むようにしておくことです。
このように対策をしておくことで、投資のリスクである暴落に備えることが可能です。
NISAを始めるには、口座を開設したうえで、自分で運用商品を選ぶ必要があります。たとえば、あるネット証券が取り扱うつみたて投資枠の投資信託は240本以上あります。この数の中から自分にあった運用商品を選ぶとなると、初めての方は悩んでしまうかもしれません。
投資初心者が商品選びで迷ったときの判断ポイントは、次の3つです。
1.株式と債券など複数の資産にバランスよく投資するバランスファンドを1本だけ選ぶ2.国内株式のインデックスファンド・外国株式のインデックスファンドを半分ずつ組み合わせる(1万円積み立てるなら、5000円ずつ)3.FPなどの専門家に相談する
投資信託には、TOPIX(東証株価指数)など、特定の市場全体の動きを反映するインデックスファンドと、より高みを目指すアクティブファンドがありますが、まずは動きがわかりやすいインデックスファンドを少額で始めてみるのがおすすめです。
投資による教育資金準備では、資産を大きく増やせる可能性がある一方で、値下がりする可能性があります。
大切なのは一つの方法に偏らないこと。まずは預貯金や学資保険、個人向け国債でベースとなる安全な資産を確保したうえで、投資を活用して攻めのお金を育てるという、組み合わせ運用がよいでしょう。
たとえば、児童手当を18年間貯めれば約234万円となりますから、児童手当以外に月1万円を、NISA口座で積み立てることで、平均利回り3%の場合、234万円に加えて286万円を準備することができますよ。
まずは月々5,000円からでも、お子さまの笑顔ある未来のための「投資」というはじめの一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。本記事がそのきっかけになれば幸いです。
(文:鈴木さや子/編集:マイナビ子育て編集部)
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